耳鼻科

主に耳と鼻の症状について、診察・検査・治療を行います。耳は音を聞くという聴覚に関する症状に注目がいきがちですが、平衡感覚(バランスをとる)を司る器官でもありますので、めまいがするという場合は何らかの耳の病気が原因ということもあります。また鼻も嗅覚の機能がよく取り沙汰されますが、呼吸器官としての役割も担っており、鼻呼吸の場合はフィルターの役割をするので肺には常にきれいな空気が入るようになります。そのため、鼻が詰まるなどして呼吸機能が機能しなくなるとウイルスや細菌などが喉や肺に入るなどして様々な症状が現れるようになります。臭いや味がしないといったことはもちろん、口呼吸しかできないという場合も当診療科をご受診ください。

以下のような症状があれば一度ご受診ください(例)

【耳の症状】

  • 耳が痛い
  • 耳がかゆい
  • 耳が詰まる
  • 耳鳴りがする
  • 耳だれが出る
  • 耳が聞こえにくい など

【鼻の症状】

  • 鼻が詰まる
  • 口呼吸をしている
  • 鼻水が止まらない
  • 鼻に血が混ざる
  • ニオイを感じない
  • くしゃみが連発する など

めまい

めまいとは、ひとつの症状を意味するものではありません。種類としては、グルグル回る、フワフワと浮いたような状態、クラッとする立ちくらみといったものがあります。一般的にグルグルと目が回る、いわゆる回転性めまいについては、耳の中の内耳という部分で何らかの異常が起きた可能性が高いと考えられます。一方、フワフワと浮いたようなめまいは動揺性めまいとも言われますが、この場合は脳の何らかの異常によって起きる可能性が高いと言われています。また立ちくらみについては、血圧の変動などによって起きやすいとされています。

めまいに関しては、内耳が何かしらの障害を受けることで脳に正確な情報が伝わらなくなって起きることが多いですが、精神的ストレスやウイルス感染、脳の血流が不足することで発症することがあります。耳の病気に関係なく、めまいの症状がみられる主な疾患には以下のようなものがあります。

良性発作性頭位めまい症、前庭神経炎、メニエール病、突発性難聴、内耳炎、聴神経腫瘍、頸性めまい(頸部脊柱管狭窄症、変形性頚椎症、むち打ちなど)、貧血、起立性低血圧、自律神経失調症、一過性脳虚血発作、脳梗塞、脳出血、椎骨脳底動脈循環不全 など

メニエール病

内耳を満たしている内リンパ液が内耳圧の上昇などによって過剰となり、それが内リンパ水腫となって様々な症状が現れている状態をメニエール病と言います。よくみられるのは、何の前触れもなく起きるグルグルと回るようなめまい、それと同時か少し前に起きる耳鳴りや難聴です(片耳の場合が多い)。このような症状は数十分~数時間続くとされ、何度も繰り返すようになります。

なお内リンパ水腫が起きる原因はわかっていませんが、めまいなどの発作については、ストレス、疲労、睡眠不足などが誘因するのではないかと考えられています。

良性発作性頭位めまい症

起床の際に飛び起きる、靴ひもを結び直そうと下を向くなどして、頭の位置や傾きが急に変わるなどしたために目の前がグルグルとするめまいが数十秒~数分程度起きている状態を良性発作性頭位めまい症と言います。なお、めまいの最中に耳鳴りや難聴のような症状が現れることはありません。

発症のメカニズムですが、これは内耳にある耳石が本来あるとされる位置(前庭)にないことで起きると言われています。耳石は前庭にあることで体の傾きや上下前後の動きを感じられるようになるのですが、これが何らかの原因で三半規管に入ってしまうとめまいの細胞を刺激してめまいが起きるようになると言われています。

理学療法によって耳石を元の場所に戻すという方法があります。

突発性難聴

突発性難聴は突然片方の耳が聞こえなくなるという病気で、ウイルス感染や血行不良が原因でないかとも言われますが、現時点で原因は特定できていません。なお耳が聞こえないという症状以外にも耳鳴り、耳の閉塞感、めまいなどがみられることもあります。痛みなどがなくても耳がおかしいと感じたら、耳の穴に指を入れる、耳抜きをしようとする前にまずはご受診ください。

突発性難聴は速やかな治療が肝心とされ、早めに対処することができれば、治癒する確率は高くなると言われています。できれば、発症後2週間以内に治療を開始するようにしてください。
なお、当院では点滴での通院治療を行っています。

耳鳴

実際に音が聞こえているわけではないのに音などが鳴っているように聞こえてしまう現象のことを耳鳴と言います。その耳鳴りの音というのは、「キーン」など金属音のような高い音がすることもあれば、「ザー」や「ゴー」など低い音が聞こえることもあります。

なお耳鳴りが聞こえている場合は、内耳や中耳の異常が原因で起きることが多く、突発性難聴、老人性難聴、メニエール病、耳管狭窄症、中耳炎といった疾患を発症していることが考えられます。突発性難聴やメニエール病では、突然耳鳴りの症状が現れ、さらにメニエール病では、低音の耳鳴りが聞こえるようになると言われています。このほか脳の病気(聴神経腫瘍)で耳鳴が聞こえることもあります。また上記以外にも過労やストレスなどによって引き起こされることもあります。

顔面神経麻痺

顔面神経とは顔面を動かす神経のことですが、同神経が障害を受けるようになると表情筋を動かせなくなるのですが、これを顔面神経麻痺と言います。顔面神経麻痺が起きるようになると顔が左右非対称に見える、口やまぶたが閉じられない、額のしわを寄せることができないといった症状がみられるほか、味覚障害、涙液・唾液の分泌低下といった症状も伴うことがあります。

なお発症の原因については、原因が特定できないベル麻痺のケースが多いです。これは、顔面神経管内の顔面神経が水膨れ状態となって、顔面神経麻痺となるものです。また、顔面神経がウイルスに感染して、顔面神経麻痺を起こすことがあるのですが、これがラムゼイ・ハント症候群です。同疾患では、耳介や外耳道に水泡が現れ、痛みが伴うようになります。また慢性中耳炎(なかでも真珠腫性中耳炎)を発症すると、中耳内にある顔面神経を損傷させるなどして顔面神経麻痺を起こすこともあります。

中耳炎・外耳炎

滲出性中耳炎

炎症によって周囲の組織から染み出している液体のことを滲出液と言います。これが中耳に溜まってしまうことで、炎症などの症状がみられている状態が滲出性中耳炎です。これはアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎などの疾患が耳管の働きを低下させることで中耳に滲出液が溜まるようになって炎症が起きる、もしくは急性中耳炎がなかなか治らないことが引き金となって発症すると言われています。よく見られる症状ですが、痛みや発熱といったことはありません。ただ、耳が聞こえにくい、詰まったような感じがみられるようになります。これは小児がよく発症する疾患ですが、その場合は両方の耳で起きることが大半です。

慢性中耳炎

主に急性中耳炎や耳管の詰まり、鼻のけがなどが原因で起こりますが、急性中耳炎が治りきらない状態が長く続くことで発症するケースが多いです。この場合、本来であれば急性中耳炎によって開いてしまった鼓膜の穴というのは自然と塞がるようになるのですが、これが長引くと塞がらずに開いたままになってしまうのです。なお痛みやかゆみ、発熱などの症状はみられませんが、穴が開いていることで音が聞こえにくくなります。また慢性中耳炎のまま、細菌などに鼓膜が感染してしまうとやがて炎症し、さらに進行すると膿が発生するようになって耳漏がみられるようになります。

外耳炎

外耳炎は外耳道炎とも呼ばれます。外耳道とは、耳の穴の入口から鼓膜までの間を言います。この部分は、耳かきや爪などによって皮膚を傷つけやすい場所でもあり、そこから細菌などが感染してしまうことで炎症を起こすようになります。このほかにもプールや海水浴に行った際に外耳道に水が入ることで発症することもあります。なお糖尿病の患者様や腫瘍が外耳道にある場合は、なかなか治りづらいとも言われています。主な症状は、かゆみや痛みといったもので、そのほかにも悪臭のある耳漏や難聴などがみられることもあります。外耳炎は、何もしなくても治ってしまうこともありますが、上記のような症状がある場合は一度ご受診ください。

鼻中隔弯曲症

鼻中隔とは、鼻の穴の左右を隔てている壁のことを言います。この壁が何らかの原因によって歪んでしまうことで、左右どちらかに弯曲してしまい、その状態によって様々な症状が起きている状態を鼻中隔弯曲症と言います。

発症の原因ですが、思春期に鼻中隔は大きく成長するようになるのですが、その際に鼻中隔の軟骨と骨の発育スピードに差が生じることで起きるとされていますが、鼻に何らかの外傷を受けることで鼻中隔が弯曲することもあります。よくみられる症状は、鼻腔が狭窄することによる鼻づまり、いびき、鼻血、鼻の粘膜の炎症といったもので、臭いがよくわからない、頭痛、肩こりなどがみられることもあります。なお症状が強く出ている場合は、手術療法によって鼻中隔の一部を摘出していきます。

嗅覚障害

嗅覚障害とは、臭いを一切感じていない状態です。そもそも嗅覚というのは、嗅粘膜に嗅素(臭いの元)が付着することで嗅神経を刺激し、大脳に伝わることで臭いを感じられるようになるので、これらいずれかの経路でトラブルが起きると嗅覚障害を発症するようになります。

主な症状はいくつかあります。具体的には、嗅覚脱失(臭いが全然わからない)、嗅覚減退(嗅ぐ力が弱っている)、嗅覚過敏(臭いにとても敏感)、嗅覚錯誤(本来の臭いとは別の臭いがする)、嗅覚幻覚(実際には臭いはしないのに臭いを感じてしまう)などです。

また嗅覚障害は、風邪、慢性副鼻腔炎、鼻アレルギー、頭部外傷など、病気やけがをきっかけに起きることが大半ですが、その原因については主に3つ(気導性、嗅神経性、中枢性)に分類されます。気導性嗅覚障害は、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎といった疾患によって嗅粘膜まで嗅素が届いていない状態です。嗅神経性嗅覚障害は、風邪のウイルスなどによって嗅粘膜自体に障害が起きることで発症します。中枢性嗅覚障害の場合は、頭部外傷(脳挫傷)や脳疾患(脳腫瘍、アルツハイマー など)、神経の損傷(パーキンソン病 など)によって嗅覚に障害が起きているタイプになります。

副鼻腔炎

副鼻腔とは鼻腔の周囲にある空洞のことで、上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞の4つに分類されています。これら空洞の粘膜にウイルスや細菌が感染し、それらによって引き起こされている炎症を副鼻腔炎と言います。なお、副鼻腔炎は急性と慢性に分けられ、急性副鼻腔炎が治りきらないで慢性化したものが慢性副鼻腔炎です。

急性副鼻腔炎の多くはウイルス感染によるもので、細菌性の場合は肺炎球菌、インフルエンザ菌、ブドウ球菌などがよく挙げられます。上記以外にも咽頭炎、扁桃炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などが引き金となって発症することがあります。発症によって悪臭が伴う膿の入った鼻水や鼻づまり、炎症が起きている部位の痛み(上顎洞の場合は頬のあたり など)、咳が長引くなどの症状が現れるほか、発熱や頭痛などがみられることもあります。さらに症状が悪化するようになると、眼や脳の周辺にまで炎症が及び、眼窩蜂窩織炎や髄膜炎を発症することもあります。

慢性副鼻腔炎は、副鼻腔炎が3ヵ月以上続いている状態を言いますが、これは急性副鼻腔炎が治りきらないことで慢性化してしまうケースが大半です。症状については、急性副鼻腔炎と同様に悪臭のある膿の混じった鼻水、炎症が起きている部位の痛みをはじめ、炎症が長期化するようになると鼻ポリープが発生しやすくなるので、鼻づまりのほか、嗅覚が低下するようになります。なお同疾患は、一般的には蓄膿症と呼ばれています。

鼻出血

これは一般的には鼻血と呼ばれているものです。鼻出血の原因は様々ありますが、ほとんどは鼻粘膜の毛細血管が切れてしまうことで起きるようになります。具体的には、鼻の穴をほじる、鼻をかむ、鼻を打撲するなど外傷によって出血するようになります。また鼻血だけでなく、くしゃみや鼻水の症状があるという場合は、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻風邪などによって引き起こされていることが考えられます。